「オウンドメディア」というワードを耳にしても、実際にどう自分たちにとって利益となるのか分からない。
オウンドメディアを構築しようとしても、価値のあるオウンドメディアとは何か、いまいち理解できない。
失敗したオウンドメディアの話を聞いて、躊躇してしまう・・・。
このようなことを考える方は、けっして少なくないでしょう。
2016年、オウンドメディアでブランディングにチャレンジしたり、新たな集客方法を確立したりする企業が増えましたが、本当に成果を上げている企業はいるのでしょうか?
私は今回のコンテンツを制作するのに、延べ100社以上のオウンドメディアを訪問しました。
その経験を通じて感じたことは、成果を出して成功しつづけるオウンドメディアと、失敗するオウンドメディアに明暗が分かれるということです。
今回はオウンドメディアの成功事例として、全20個のオウンドメディアをピックアップしました。
※その前に、現在の日本のオウンドメディア事情について少しお話ししたいと思います。
Contents
オウンドメディアって何?
復習になりますが、オウンドメディアとはなんでしょうか?
簡単に説明すると、オウンドメディア(owned media)とは言葉通り、自社が所有するメディアのことです。
広義の意味ではコーポレイトサイトやメールマガジンなども含みますが、最近では主にテキストベースのコンテンツを更新するブログを指すことが多いです。
(「トリプルメディアは古い?2015年のコンテンツマーケティングを考える」で詳しく述べています。)
2016年オウンドメディアを取り巻く状況
2016年、いまやオウンドメディアはネット上に無数に存在します。
しかし、本当に価値のあるオウンドメディアは、ほんのわずかではないでしょうか?
読者が「見たい!」と思う有用な情報がなければ、オウンドメディア自体、存在の必要性が問われます。顧客にとって価値がある情報でなければ誰の目にも触れられず、成果に結びつくことはありません。
私は、ここ数年で価値あるオウンドメディア以外は、淘汰されるのでは?と考えています。
参考「コンテンツマーケティング成功事例15選|国内サイト限定」
オウンドメディアの成功とは?
今回、オウンドメディアの価値を客観的に判断するために、3つの指標を選びました。
- 更新頻度
- Similar webによるアクセス情報
- ソーシャルメディアのファン数
上記の3つです。
さらに主観的にはなりますが、「コンテンツのオリジナリティ」といった視点も加味しております。
本コンテンツにおけるオウンドメディアの「成功」は、合計4つの指標・視点で総合的に判断しています。(更新が止またオウンドメディアも、コンテンツ内容の良さからピックアップしたりもしています。)
それでは、「2016年成功しつづけるオウンドメディア事例20選」をご紹介します。
※月間セッション数は2016年4月時点のSimilarWebの数値です。実数値とは大きく乖離している場合があるので、あくまで参考値としてお考えください。
1. B to Bオウンドメディア10選
まずは、B to Bのオウンドメディア10選です。
有名なオウンドメディアから、やや渋い(知る人ぞ知る)オウンドメディアもありますが、どれも参考になる試みがたくさんあります。
1-1. 経営ハッカー
月間セッション数:約2,500,000
運営:freee株式会社(2012年設立)
更新頻度:1~2回/日
Facebookファンページ【いいね!】数:24,850(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:5,949(2016年4月現在)
クラウド会計ソフトを扱うfreee株式会社は、『経営ハッカー』で会社設立や経営に役立つ情報を企業の経理、会計向けに発信しています。
会計や経理の基本、給与、税金、控除、経費についてはもちろん、WEBサービスやクラウドによる業務の効率化についてのコンテンツもあります。
質の高いコンテンツをほぼ毎日更新しているのが特徴で、ソーシャルメディアの中でも約25,000のファンページ【いいね!】数からもわかるように、Facebookからの集客が最も多いようです。
1-2. 経理プラス
月間セッション数::約62,000
運営:株式会社ラクス(2000年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:4,393(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:216(2016年4月現在)
中小企業向けクラウドサービスを提供する株式会社ラクスでは、企業の経理担当向けのコンテンツを発信する経理プラスというオウンドメディアを運営しています。
大きく3つ(業務の効率化、経理豆知識、経理ニュース)にわかりやすく分類されていて、自社システム導入前後の業務の比較や、自社でのアンケートをもとに、グラフを使って身近な業務の悩みの対処法を紹介するなど、役立つ、興味深いコンテンツがたくさんあります。
1-3. 名刺のネタ帳
月間セッション数:約400,000
運営:Sansan株式会社(2007年設立)
更新頻度:更新は現在ストップしている
Facebookファンページ【いいね!】数:661(2016年4月現在)
テレビCMでご存知の方も多いSansan株式会社が運営するこのオウンドメディアでは、ビジネスマン向けの名刺に関することや、使える豆知識を発信しています。
名刺に関するオウンドメディアなんて、結構マニアック!と思いますが、名刺はビジネスマンではだれでも持っているもの。そこをターゲットにしたコンテンツをしっかりまとめてあります。
1-4. somu-lier|ソムリエ
月間セッション数:約18,000
運営:ソネット株式会社(1995年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:309(2016年4月現在)
『日本のバックオフィスに元気を注ぐナレッジ・メディア』とあるように、企業の総務向けにさまざまなコンテンツを用意しているのは、ソネット株式会社のオウンドメディア『somu-lier|ソムリエ』です。
クローズアップ、コラム、インタビュー、総務のおいしい話、お役立ち資料、この5つのカテゴリに分けられていて、人気のコンテンツはFacebookでおよそ900いいね!もついています。
業務に役立つ情報はもちろん、おすすめの説明会場、女性社員人気の習い事、おすすめの宴会会場など、カジュアルに見られるコンテンツもたくさんあります。
1-5. アイミツまとめ
月間セッション数:約500,000
運営:株式会社ユニラボ(2010年設立)
更新頻度:7~8回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:9321(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:610(2016年4月現在)
株式会社ユニラボの運営するサービス、アイミツのオウンドメディアです。アイミツは、B to B向けの100カテゴリ、5万社以上の発注業者を徹底比較した一括見積もりコンシェルジュと称するサービスです。
『アイミツまとめ』というまとめ記事サイトは、10カテゴリと幅広く充実したコンテンツによってさまざまな角度からアクセスを集めています。
おすすめ業者の紹介をしつつ、各カテゴリのノウハウをポイントをおさえて説明しています。
1-6. MFクラウド
https://biz.moneyforward.com/blog/
月間セッション数:約5,000,000
運営:株式会社マネーフォワード(2012年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:16,580(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:4,475(2016年4月現在)
計ソフトを扱う株式会社マネーフォワードのオウンドメディア『MFクラウド』では、財務関連のコンテンツが充実しています。
カテゴリとしては、個人事業主向け会計、法人会計、ビジネスハック、この3つです。
企業の会計で悩みのある担当者や、個人事業者に向けて作られていて、自社の製品によって解決できる事例の紹介や、確定申告や源泉徴収についての基礎知識も一から説明しています。
1-7. アドエビスマーケラボ
月間セッション数:約10,000
運営:株式会社ロックオン(2001年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:3292(2016年4月現在)
株式会社ロックオンが運営するオウンドメディア『アドエビスマーケラボ』は、マーケティングに役立つ秘訣を紹介しています。
人気があるコンテンツは、マーケティングを行う上でのコツ、データ処理におけるお役立ち情報などです。
デジタルマーケティングや、統計学、組織論といった、ややマニアックな領域でも、わかりやすくためになる情報発信をしています。
1-8. メルラボ
月間セッション数:約140,000
運営:株式会社ラクス(2000年設立)
更新頻度:1回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:10,740(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:1,535(2016年4月現在)
『経理プラス』と同じ株式会社ラクスが運営しているこのオウンドメディアは、メールを使ったコミュニケーション、メールマーケティングの効果を上げるための情報を発信しています。
実用的な内容も多く、WEBマーケティングに興味がある方だったら思わず唸ってしまうような秀逸なコンテンツもあります。メールマーケティングにトライする方は、特に必見です。
1-9. 情報セキュリティブログ
月間セッション数:約74,300
運営:株式会社日立ソリューションズ
更新頻度:3~4回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:2860(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:2,171(2016年4月現在)
『情報セキュリティブログ』は、株式会社日立ソリューションの運営するオウンドメディアで、2008年からセキュリティに関連する情報を発信しています。
セキュリティに関する最近の動向、用語解説などもカテゴリとして用意されています。
話題のキーワードはホットキーワードとしてまとめられているのも特徴の一つです。キャラクターやアニメーションを用いた動画コンテンツもあり、様々な試みを垣間見ることができます。
1-10. ばね探訪
http://tokaibane.com/bane-tanbo/
月間セッション数:約15,000
運営:東海バネ工業株式会社
更新頻度:週1回程度(自社製品が活躍するモノづくりの現場レポート)
Facebookファンページ【いいね!】数:15,144(2016年4月現在)
オリジナルのバネの受注生産を行う東海バネ工業が運営するこのオウンドメディアは、課題別、用途別のばねの紹介から、ばねの活用事例などを企業向けに紹介しています。
一見すごくマニアックなサイトではありますが、こういうサイトこそニーズのある企業を逃さない、まさにオウンドメディアの良さを最大に生かしているといえるでしょう。
2. B to Cオウンドメディア10選
つづいて、B to Cオウンドメディア10選です。B to Bとはちがい、扱うテーマも内容も幅広いのが特徴です。
それでは見ていきましょう。
2-1. みんなのウェディング
月間セッション数::約8,400,000
運営:株式会社みんなのウェディング
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:13,062(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:3,572(2016年4月現在)
結婚式場の口コミサイトである、みんなのウェディングは、女性なら誰でも気軽に読みたくなってしまうコンテンツが満載です。
コラムや相談広場をはじめ、未来の結婚に向けた『結婚塾』、花嫁のヘアセットやネイル、式の演出を紹介する『アイデア』などのカテゴリがあります。
みんなのウェディングが口コミサイトであることから、オリジナル情報である顧客のリアルな声が反映されていて、よくまとまっているという印象です。
2-2. オンスク情報マガジン
月間セッション数::約20,200
運営:株式会社オンラインスクール(2013年設立)
更新頻度:1~3回/日
Facebookファンページ【いいね!】数:3666(2016年4月現在)
twitter フォロワー数:5,131(2016年4月現在)
資格や勉強法に役立つ情報を発信するオンスク情報マガジンは、株式会社オンラインスクールが運営するオウンドメディアです。
資格取得に向けて、またはそのきっかけになるようなコンテンツが用意されています。
資格の種類別で分けられたカテゴリでは、その資格の受験者のスケジュールに合わせて、試験の出題傾向、試験直前の確認、試験講評、合格者におすすめの資格の紹介、というように、資格取得にモチベーションがあるターゲットに絞ってコンテンツ作りをしています。
2-3. ニキペディア
月間セッション数::約530,000
運営:ガシー・レンカー・ジャパン株式会社(2004年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:417(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:5,388(2016年4月現在)
オウンドメディア成功事例まとめでよく取り上げられる『ニキペディア』では、ニキビに悩む全ての人のための応援サイトとして、ニキビに関するコンテンツを更新しています。
医師や専門家の監修のもと、自社製品をひいきせず、客観的な意見がとても好印象です。
2-4. 保険の教科書
月間セッション数::約650,000
運営:ファミリーコンサルティング株式会社(?年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:6585(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:204(2016年4月現在)
生命保険代理店事業を行う、ファミリーコンサルティング株式会社のオウンドメディア『保険の教科書』です。
妊娠、出産、引っ越しや入院など、さまざまなライフイベントに合わせた保険に関するお役立ち情報、ノウハウがギュッと詰まっています。
2-5. キャリアパーク
月間セッション数::約9,800,000
運営:ポート株式会社(2011年設立)
更新頻度:不明
Facebookファンページ【いいね!】数:3638(2016年4月現在)
twitter(就活版)フォロワー数:4,586
twitter(ビジネス版)フォロワー数:743
株式会社ポートが運営するオウンドメディア『キャリアパーク』は、すべての人の仕事・キャリア選択に役立つ、国内最大級のノウハウ情報プラットホームとして、就活から転職、資格、留学など10のカテゴリに分類されたビジネスやキャリアに関わる情報が満載です。
就活のカテゴリだけでも2万を超えるコンテンツが現在掲載されているので、充実の内容に満足する方も多いのでは?
2-6. ワコールbody book
月間セッション数::約25,000
運営:株式会社ワコール(2005年設立)
更新頻度:2~3回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:174(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:810(2016年4月現在)
日本大手下着メーカー株式会社ワコールは、『ワコールbody book』で、女性をターゲットとしたエッセイの連載を毎週更新しています。
女性の身近な疑問や悩みに対してのアドバイスや解決法、1分間ヨガエクササイズなど、女性にとって実践してみたい情報が満載です。
食、美容、ファッションの各専門家(管理栄養士や薬剤師)がライティングを担当していて、ライターのプロフィールがしっかりと明確な点も、コンテンツの信頼性をグッと上げてくれていますね。
2-7. suumoジャーナル
月間セッション数::約1,570,000
運営:株式会社リクルートホールディングス(1963年設立)
更新頻度:5~10回/日
Facebookファンページ【いいね!】数:11,511(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:5,825(2016年4月現在)
自分にぴったり合った暮らし、それを実現するためのノウハウを紹介するオウンドメディアとして、株式会社リクルートホールディングスが運営する『suumoジャーナル』です。
このオウンドメディアは、8つに分かれるカテゴリと1日の更新の頻度の高さが特徴的です。
多いときは1日に10を超える更新をしているようですが、1つ1つ内容はていねいで、気軽に見られる印象です。特に人気のコンテンツは『住みたい街ランキング』(Facebookで約2,000いいね!を獲得)です。
2-8. ベネッセ教育情報サイト
月間セッション数::約522,000
運営:株式会社ベネッセホールディングス(1955年設立)
更新頻度:2~3回/日
Facebookファンページ【いいね!】数:25,475(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:22,141(2016年4月現在)
通信教育、出版事業を行う株式会社ベネッセホールディングスは、子育て、教育、受験に関するオウンドメディアを、ほぼ毎日更新しています。
ソーシャルメディアのフォロワーの数も2万を超えているので、リピーターも多いはずです。
コンテンツはそれぞれターゲットが的確に絞られていて、検索機能を使えばすぐに読みたいコンテンツに出会えるといった点で、よく考えられて設計されている印象です。
2-9. くらしの良品研究所
月間セッション数::約6,500,000
運営:株式会社良品計画 (1989年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:1946(2016年4月現在)
無印良品でおなじみの、株式会社良品計画が運営するオウンドメディア『くらしの良品研究所』です。
衣服、食品、生活雑貨の3つのカテゴリに関するコラムを更新しています。
顧客から商品に関する意見・要望を受け、『商品の見直し・改良・新製品の開発』などを行う工程を紹介するコンテンツは、無印良品の製品にかける想いや姿勢を感じさせる秀逸なコンテンツです。顧客の意見を、企業側がしっかりと受け止めている姿勢が感じられます。
参考:「定番スニーカー見直し」
2-10. THE BAKE MAGAZINE
http://www.bake-jp.com/magazine/
月間セッション数::約200,000
運営:株式会社BAKE(2013年設立)
更新頻度:1~2回/週
Facebookファンページ【いいね!】数:2,689(2016年4月現在)
twitterフォロワー数:1,168(2016年4月現在)
株式会社BAKEは、都内で話題の行列をつくるSWEETS専門店を運営しています。本メディアはB to B向けの採用や企業取材につなげるオウンドメディアとして運営していますが、B toC視点でも面白いコンテンツばかりなので、あえてB to Cのオウンドメディア事例としました。
読者視点で見ると、おしゃれでスタイリッシュなメディア!というイメージで、毎回のコンテンツもおいしそうな自社のお菓子のことから、社員のインタビューなどが更新されています。
まとめ|成功しつづけるオウンドメディア事例の共通点
今回は2016年版|オウンドメディア成功事例20選をお届けしました。
成功しつづけるオウンドメディアの共通点は、成果を上げつづけていることにあります。それは、投資に対して回収ができているとも言えるでしょう。
10年先を見据える長期的な視点で、オウンドメディアの継続的な運用を検討してみてはいかがでしょうか?