織田晃輔

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「インサイドセールス」という言葉をご存じでしょうか?

インサイドセールスとは、対面ではなく、メールや電話などでやり取りする営業手法のことですが、近年よくこの言葉を聞くようになったと思いませんか?

古くから営業マンは足を使って顧客の元に行き、顧客の声を直接聞くことで営業成績を上げていたはず・・・。営業にそんなイメージを抱く方は、「インサイドセールス」だなんて、あまりイメージができないかもしれません。

しかし、今の時代にインサイドセールスを知らなければ、少なからず損をしていると言っても良いでしょう。

今回インタビューに答えていただいたのは、株式会社セールスフォース・ドットコムの田崎さんです。インサイドセールスという手法の移り変わりや、セールスフォース・ドットコム社のユニークな社内体制などについて、ご紹介いたします。

「インサイドセールス」の今とこれまでの流れ

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↑「インサイドセールス」について語って下さる田崎さん

近年「インサイドセールス」という言葉を盛んに聞くようになったと言われていますが、我々の考えとしては「最近流行りだした」という感覚はなく、ようやくお客様が、その有効性に実感をお持ちになってきたのだと思っています。

我々は2000年に日本法人を設立したのですが、翌年サービス開始した直後からインサイドセールスを採用していましたし、「インサイドセールス」自体もかなり前からDellさんなど多数の外資系企業が始めていました。ですから、我々からしてみれば特に物珍しさはありません。

以前はエンタープライズの世界にクラウドは一般的でなかったため、弊社のメインターゲットになるのは中小企業でした。

そこで最初に作った顧客獲得モデルは、中小企業向けにマーケティングを行って、WEBサイトから興味を持った人が入ってくるところにアプローチするというのが、弊社のインサイドセールスの最初の役割でした。

そこでの仕事は、すぐに買ってくれる人と、そうでない人を選別し、そのうえでフィールドセールス(お客様に訪問して商談をする営業)にバトンタッチするというもので、限られた人員の中、営業活動の効率化を行う上で選定作業は非常に重要なものでありました。

次に、セールスフォース・ドットコムがある程度有名になると、今度は大企業向けに売り出していこうとなりました。

大企業からは、わざわざWEBサイトやセミナーに足を運んでくれないですし、こっちから行かなくてはならないというフェーズがやってきたのです。

その際にフィールドセールスに頼ると、まずアポイントを取って何度も足を運んで・・・という手順が必要になります。そうすると、取引開始までの時間や工数がものすごく必要になることに気づきました。それだと、やはり効率が悪いのです。

そこでインサイドセールスに、2軸目としてのプッシュの姿勢も加えることにしました。インサイドセールスの主軸は、基本WEBサイトから入ってきた方に対して、メールや電話をするなどの「待ち」の姿勢でしたが、そこにプッシュの姿勢も加えることによって新しいマーケットを開拓しようと試みたのです。

2軸目を加えたのは6~7年前のことになりますが、メールや電話の他に、最近だと手書きの手紙を使って発掘することもあります。

最新のクラウド企業としては、手紙というのは斬新な取り組みだと思われるかもしれません。しかし、「他と違う」というポイントが非常に大切なので、アポの取り方などにも気を配り、とにかく、話を聞いていただく機会を増やす工夫をしています。

インサイドセールスの流れ・セールスフォース・ドットコムの体制

弊社のインサイドセールスから、フィールドセールスにバトンパスする流れをご説明します。

まず、「BANT条件」という指標を使います。BANT条件は、営業の世界の言葉なのですが、インサイドセールスにおいても、案件として追いかける価値があるかどうかを見定めるための、1つの指標になります。

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フィールドセールスにボールを渡す時も、「BANT条件が揃ったので、良い案件ですよ」というようにしています。

それに加えて重要なのがマーケティングオートメーションのデータです。マーケティングオートメーションとは、マーケティングの各プロセスおけるアクションを自動化・計測するための仕組みやプラットフォームのことです。

お客様のウェブ上の動きだったりニーズの変化だったりというのは、技術の発達により、どんどん可視化が進み、データが手に入るようになりました。

そうすると、そのデータを分析することによって、この製品はこんな売り方をすればもっと売れるのではないか?という仮説を立てることができるようになります。

そのための指標となるのが、メールのクリック率やセミナーの参加率などですが、そういうものを、スコアリングして、マーケティングオートメーションのデータとしてインサイドセールスが利用することで販売効率を圧倒的に上げられます。

しかし、それだけではうまくいかないのがBtoBの世界です。BtoBの世界というのは、最終的にはフェイストゥーフェイスで、お客様から注文書にサインを貰わないといけない習慣がまだ根強く残っています。そのため、どんなにWEBサイトがクリックされていたとしても、最終的な「注文書」には到達できないところがあるわけですね。

そこで、デジタルとアナログのハイブリッドになるわけですが、たくさんのデータが増えてくると、人の目で確認して一部のデータだけを見て判断するのは、正確性という点では少し怪しいところがあります。

そこで、最新のテクノロジーであるAI(人工知能)の出番です。腕の立つ営業マンだと、名刺を見た瞬間、パッと「いけそう!」と思ったりするものですが、それと同じように、要は経験のある人の「勘」のようなものをAIでスコアリングしてしまおうということです。AIなら、人がやる以上に多くのデータを集計して、考えることができます。

100人のインサイドセールス部隊が1人1人丁寧に行った選定作業の「特徴」を人工知能で抽出することで、たとえ新人のインサイドセールスが入社してきたとしても、経験をつんだインサイドセールスと同じことができるようになります。

また、商談インサイトという機能では、お客様との電子メールでのやり取りをすべて分析して、商談に関するリスクを抽出し、営業に対してタイミングよくアラートを発信してくれるようになります。これで、ベテラン営業と同じ「気づき」を得ることができ、失注リスクを最小化できるようになります。

セールスフォース・ドットコムが描く「インサイドセールス」のこれから

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すでにリリースしているAIの機能については、世界でもすでに多くの企業が導入しています。

アメリカで上がっている報告によれば、AIを上手に使ってる企業とそうでない企業とでは、効率の面で大きく差が出ていました。そこで私たちも人工知能をSalesforceのユーザー企業に提供しようと考え、昨年「Einstein(アインシュタイン)」を発表しました。

また先日は、IBMとの提携も発表しました。狙いはIBMの開発した「Watson(ワトソン)」と、仲良くなることです。

Watsonは、コンピューターでありながら、人と同じように情報から学び、経験から学習するコグニティブ・テクノロジーです。EinsteinとWatsonが、仲良くなるという不思議な構図です。

※ついに登場!Salesforce Einstein とは?Vol.1 すべてのお客様にAI(人工知能)をhttps://www.salesforce.com/jp/blog/2016/09/einstein-vol1-introducing.html

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Watsonとは?
https://www.ibm.com/watson/jp-ja/what-is-watson.html

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まず、2年がかりでプラットフォームを整えた我々のEinsteinですが、CRMに入力されたこれまでのお客様とのやり取りなどのデータをもとに売上予測などCRMに関する「発見・予測・推奨・自動化」を行います。

メインの守備範囲は、CRMのデータがメインです。顧客情報や案件情報、サポート情報などが得意なわけですね。Einsteinは、囲碁も将棋も打ちませんし、車も運転しませんが、高い収益を獲得する見込みのあるお客様を判断することができます。

しかしお客さんによっては、構造化されたデータ、つまりCRMのデータだけでは計り知れないこともあります。そこで、IBMさんのWatsonの出番です。

IBMが開発したWatsonはコグニティブ・テクノロジーにより、非構造化データから洞察を得ることが可能です。データ学習により、たとえば気象予測サービスなどを提供しています。

つまり得意なことや、それぞれの守備範囲というのが違ったりしますので、それぞれがカバーしている分野を組み合わせて、お客様にとっての未来の予測を、より正確なものにしようというのが直近の試みですね。

例えば、かき氷が一番売れる温度って知ってますか?かき氷は30度だそうです。ちなみにアイスクリームは23度と言われています。気温が、人に与える影響って、めちゃめちゃ大きいんですね。

それを知ったうえで営業活動を展開すれば、お客様の趣味嗜好を知り、売上にダイレクトに良い効果をもたらすことができます。

しかし、明日の天気予報で30度を超えそうだとわかったので、かき氷を今すぐ5,000個必要といわれても、難しいじゃないですか?ということは何日か前に用意する必要があるのです。そこで高度な予測が必要になるんですよね。これが、組み合わせることによる一番のメリットです。

こういう形で、AIは、人間のサポートをするように動いています。Facebookの顔写真のタグ付けなんかもすべてAIですからね、時代はどんどん進んでいます。

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(『「インサイドセールス」のこれからーEinsteinとワトソンが手を組んだ!?』は、ここまでです)

(文/テックブック織田 晃輔)