織田晃輔

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近年、巷でよく聞くようになった「AI」という言葉。AIは、すでにSF映画だけのものではなくなり、私たちの身近な世界にも存在するようになりました。

そしてそれは、デジタルマーケティングの世界でも同様です。

今回は、AIを使ったWEBサイト分析ツール=「AIアナリスト」を開発した株式会社WACULの大津さんにお話を伺って参りました。

AIがデジタルマーケティングの世界を席巻したら、人がこれまで行ってきた仕事はどうなるのでしょうか?どんな仕事が消え、どんな仕事の需要が生まれるのでしょうか?

AIを使った効果測定で何が変わったのか、そして今後はどうなるのか・・・私たちの興味はつきません。

AIによるデータ分析の現状

なぜ今「AI」なのか?

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↑「AI×デジタルマーケティング」について解説する大津さん

昔は、知的労働を機械に置き換えるための理論はあっても、現実が追いついていない状況でした。

しかし現在、クラウドが開発されてコストも下がって、マシンの処理速度も上がっています。今までの8割程度をルールベースのシステムではなく、機械に任せられるような仕組みを作るための下地ができたというのが、AIが「今」である理由だと思います。

我々は最初から「AI」を使ったツールを作ろうと動いていたわけではありませんでした。

2014年の頭くらいに、当時やっていたコンサル業務の中で、人が行う分析には限界があるのではないかと思うようになりました。そこで初めて社内でシステム化を図ろうとしたとき、AIという選択肢を設けようと話したのが始まりです。

最初は、「課題発見ツール」というプロダクトからスタートしたのですが、最終的に「AIアナリスト」として打ち出すことになりました。それがたまたま運良く2015年頃から始まった「AI」というトレンドに合致しました。

ですから、人の仕事を機械で置き換えたいという共通した理念はありましたが、別にAIという言葉にこだわっているわけではありませんでした。

AIでなければならないという焦燥感みたいなものは、ありませんでしたね。

AIの導入で何が変わるのか?

人間は、リニアな変化は捉えることができます。

リニア、すなわち直線的な動きであれば捉えることができるのです。しかし、指数関数的に動くモノや、三次元の空間分布は捉えることが難しいので、その点はすべて機械に任せてあげるべきなんです。

人間に理解し辛い分析は機械に任せて、反対に人間が捉えやすい直線的、もしくは二次元的な分析は機械にやらせずに、直接人間が確認して判断してあげることで、時間やコストを抑えることができるようになります。

人工知能「AIアナリスト」

弊社は「AIアナリスト」というサービスを提供しているのですが、これはGoogle Analytics(以下、GAと呼称)のデータを元に、自動でわかりやすい改善案を提供するというものです。

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このサービスは、GAと連携することが現時点では必要になります。GAのデータを利用するのには、多くの会社さんが導入しているという理由の他に、今までのデータがすでに溜まっているので、新たにタグを貼って、データを取る必要が無いというメリットがあります。

このAIアナリストを使うことで、今までやっていた分析がはるかに容易になります。

例えば、GAを使っている人であれば分かると思いますが、いろんな画面を観なければならず、画面に行けばメニューも膨大ですし、いろんなシステムを使いこなさなければいけません。

そこで、AIアナリストと連携することによって、その分析作業を機械が代替し、重要な情報だけを確認するだけでよくなるのです。

人の目で行うと膨大なビューがあるので、様々な理解を求められますが、AIアナリストを使うことで、分かりやすく簡単に確認することができるようになります。

こういった仕事は、今までであれば外部のプロフェッショナルにやってもらう仕事でした。なので、中小企業やプロジェクトチームレベルだと高いコストはかけられず、きちんとした分析ができていないことが多かったと思います。

しかし、AIアナリストを利用すれば、手動でやれば2日かかるようなことを全て機械が行ってくれます。プロの収集分析が、自動かつ低コストでできるようになるわけです。

また、オプションにはなりますが、弊社は人間のコンサルタントもしっかりいますので、機械による収集分析後も、より具体的なカスタマイズや画面の案をご提案させていただくことも可能です。

「AI」と「人」で作る新たなデジタルマーケティングの世界

インプットしたデータの収集、そこから得られる事実や差を浮き彫りにする分析とか解釈は、やはり機械が得意です。なので、こういった仕事は、人からAIへと移り変わると思います。

例えば、ある分析のプロフェッショナルがとあるお店に赴いて、その店の雰囲気だったりを感じ取り分析する場合がありますが、これはある程度習熟した人でないとできないことです。

しかし、AIであれば物凄いスピードで学習することができます。そうすると人が「雰囲気」として感じ取って思っていることを深堀りして、根拠に基づいた指摘をすることができます。

なのでそういった分析は、進化させやすかったり、再現させやすかったり、複雑なものを分かりやすく示したりするのが得意なAIに置き換わっていくと思います。

またAIに教え込むという話において、起点となるものは人でなくとも構いません。最新のディープラーニングでは、自動的に特徴を捉えて学ぶようになっています。ですから、この仕事も人間がする必要性はないわけですね。

それでは、人の仕事はデジタルマーケティングの世界から消えてしまうのかと言うと、そんなことはありません。

それでもなお、人がセンサーとして働かなくてはならない部分があります。それは、「どんな」データを、「どのような方法」で取るかということです。

例えば、店舗の中の写真を100%データ化して、AIに読ませたら、それで済むかというとそんなことはなく、例えばその写真に写らないお店の外観だったりとか、人通りの数とか、そういうデータを取ろうと発想するのは、まだ人間の仕事でしょう。

つまり、何のデータを取るべきが、どのように取るべきかをデザインする仕事は、人がやるしかないということです。

少なくとも、コンピューターのパフォーマンスが振り切れない限り、複雑に絡む膨大なデータを取ることは難しく、コストもかかります。

取るデータと、取り方の当たりをつけるのは、まだまだ人間がやることになるでしょう。

しかし現状、このようにデザインする仕事は、あまり行われていないように感じます。アクセスを解析したりはしますけど、結局それだけで、例えば、「こういうデータも取ったら売り上げを向上させられるのでは?」と考えて実行する人が少ないように思うのです。

でも結局、それはなぜかというと、今取っているデータの解析をするので手一杯で、新しくこういうデータを取ろうという発想や、取るための仕組みを作る時間もコストもないわけなんですね。

ただこれからはデータが取れてしまえば、その先はAIがやってくれる世界なので、徐々に、データを取るのに時間とコストをかけられるようになるでしょう。

ですから、人の仕事はそう言うデザイン系にシフトしていくと思いますね。

特に、デジタルマーケティングの世界というのは、他のモノに時間を取られ過ぎているので、その状態からいち早く脱却して、更にクリエイティブなことをするべきだと思います。

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(『AIが変えるデジタルマーケティングー「AI」と「人」で作るこれからの世界とは?』はここまでです。)

キャプチャ

↑今回取材にご協力いただいた株式会社WACUL様のサービス「AIアナリスト」はこちら

文/テックブック織田 晃輔